ご挨拶

日本獣医内科学アカデミー

- 第11回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2015)の開催にあたって -

2014年2月7~9日には日本獣医内科学アカデミー(Japanese College of Veterinary Internal Medicine, JCVIM)の10回目となる記念すべき学術大会(JCVIM2014)を開催し、10周年記念プログラムを中心として順調な滑り出しでスタートしておりましたが、開催第2日目に横浜ではほとんど経験したことのない暴風雪に見舞われました。参加者の皆様がご帰宅の交通事情を心配しながらも熱心にセッションを聴講しておられたのが印象的でした。共催団体および聴講の皆様、講演者の先生方、展示企業の方々、および運営をお手伝いいただいた皆様から時々の事情の中で暖かいご支援をいただきました。最も風雪の強まった土曜日のイブニングセミナー(5セッション)以外については予定通り順調に遂行することができましたのも皆様方のご協力の賜物と思い、ここに心からの感謝の意を表したいと思います。

私は2004年(第1回)から2014年の第10回記念学術大会まで実行委員長を務めさせていただきました。この間、2009~2012年の4回にわたって同時開催させていただいた日本獣医臨床病理学会、2011年に同時開催をお願いした日本獣医皮膚科学会、共催団体、全国大学関係者、協賛企業、講演者、症例検討・研究発表の発表者、および座長・モデレーターの皆様のご尽力により、獣医内科学診療の向上といった本来の目的を達成するための活動を展開することができ、心から感謝致しております。

第11回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2015)においては、これまでプログラム委員長を担当してこられた亘敏広先生(日本大学)に実行委員長としてその運営を実質的にリードしていただくことになり、私が大会長として、また鷲巣月美先生(日本獣医生命科学大学)が副大会長としての役割を果たすことになりました。今回から、かなりジェネレーションが移行することになり、これまでになかったようなアクティビティーが発揮されるようになることを期待しております。

JCVIMの活動としては、第1回学術大会(総会)を2004年8月7~8日に都市センターホテル(赤坂)で開催したのが最初ですが、それ以前の2001~2003年に東京大学弥生講堂において毎年AIM-MOVES(Association of Internal Medicine in Metropolitan Veterinary Schools)というその前身となる関東5大学による協同ゼミを実施しておりました。10年以上にわたる大学間協力によるこういった学術活動を通して、獣医内科学臨床が発展し、優れた人材を輩出することができたことを誇りに思っております。しかしながら、世界的な視野に立って欧米および最近のアジアの国々の状況と比較した場合、日本の獣医系大学および獣医教育病院は21世紀に入ってからの世界標準のレベルアップに追いついていくことができず、その設備、教員スタッフ、および実地教育制度(臨床ローテーション等)は大幅に立ち後れています。次の10年においては、こういった状況から脱却して日本の獣医界が世界に羽ばたくことを祈念しております。

第11回日本獣医内科学アカデミー学術大会・大会長
東京大学大学院農学生命科学研究科・教授 辻本 元