ご挨拶

日本獣医内科学アカデミー

- 第12回日本獣医内科学アカデミー学術大会(JCVIM2016)の開催にあたって -

前回の日本獣医内科学アカデミー(Japanese College of Veterinary Internal Medicine, JCVIM)学術大会開催時(2015/2/20-22)におきましては、参加者の皆様、ご講演いただいた先生方、スポンサーの各企業様、共催学術団体の方々、および学生アルバイトの皆さんに心強いご協力をいただき、おかげさまで充実した大会になりました。大会長として心から御礼申し上げます。

日本獣医内科学アカデミーは、2002年に結成された全国16大学の獣医系大学内科系教員のゆるやかな連携に基づく集まりです。内科系分野を幅広くカバーするために、すでにある学会・研究会と連携を図りながら、獣医内科診療を発展させることをめざしてきました。その目的を達成するため、学部教育、卒後教育、専門医養成の各分野において活動を進めてきました。この学術大会は、まさにその卒後教育の一環として継続してきたものであり、皆様の多大なるご支援により、着実な成果を挙げることができたものと考えております。

専門医養成に関しては、欧米の獣医系関係機関からの要望により、日本だけではなくアジアレベルでのシステム構築が必要となり、アジア獣医内科学会(Asian Society of Veterinary Internal Medicine, AiSVIM)を設立して活動を進めてきました。国際的な連携が必要であったためにかなりの時間を要しましたが、(European College of Veterinary Internal Medicine, ECVIM)のEric Teske先生(ユトレヒト大学)を中心とする選考委員会により、本年(2015年)中にアジア獣医内科学専門医協会(Asian College of Veterinary Internal Medicne, AiCVIM)の設立専門医(Founding Diplomate, Invited Specialist)が選定されます。これにより、AiCVIMの実質的な活動が開始されることになり、日本獣医内科学アカデミーの設立当初の目標が達成され、大変うれしく思っております。

学部教育について考えた場合、日本においては、個々の大学の獣医系教育組織の規模が小さいこと、各大学に附属する家畜病院(現在ではさまざまな名称が用いられている)が充実していないこと、さらに診療現場における臨床ローテーションに関して質・量とも不十分であること、といった獣医学教育に関するシステム上の問題点があります。日本獣医内科学アカデミーに参加される先生方は、国際的な視野を持って臨床獣医学の発展をめざしておられることと思います。とくに若い年代の先生方のご参加が増えておりますので、日本獣医内科学アカデミーが日本のそしてアジアの臨床獣医学をリードしていくための活動の場になっていくことを祈念しております。

JCVIM 2015からは、亘先生に実行委員長として全体をリードしていただき、桃井先生にJCVIM主導のプログラム編成をしていただいたことにより、セッション内容が刷新されました。おかげさまで、JCVIM 2015におきましては、会場を新宿から横浜に移して以来最も多い参加者を迎えることができました。今回のJCVIM 2016におきましても、基本的にはJCVIM 2015と同様のポリシーに基づいてプログラムを構成する方針です。また、本年からは、さらに若手の実行委員として伊藤大介先生(日大)と福島建次郎先生(東大)に加わっていただきましたので、より充実した新しい会になるものと思います。たくさんの皆様にご参加いただくのを楽しみにしております。

第12回日本獣医内科学アカデミー学術大会・大会長
東京大学大学院農学生命科学研究科・教授 辻本 元